- 公開日:
スプレッドシートとエクセルの関数の違い
同時編集を可能とし、共有力に優れたGoogle スプレッドシートは、Excelのユーザーからも高い支持を受け、現在では多くの方が利用しています。
Excelで使用できる関数とスプレッドシートで使用できる関数に異なる点があるのはご存じでしょうか?
この記事では、関数に焦点を当てて、Excelとスプレッドシートの違いを解説していきます。
Excelからスプレッドシートへ変更しようと検討中の方にも参考となるでしょう。
関数の種類の違い
2024年2月現在、Excelでは486種類、Google スプレッドシートでは412種類の関数を使用できると言われています。
ただ、スプレッドシートを運用しているGoogleがスプレッドシートで使える関数の数を正式に発表していないのが現状です。
幾分かExcelの方が多いですが、スプレッドシートはExcelで使用できるほとんどの関数をカバーしていると言えるでしょう。
現在でも、Excelを販売するMicrosoft、スプレッドシートを運用するGoogleで、新しい関数の実装を発表しています。
スプレッドシートだけで使える関数
Excelにはなく、スプレッドシートにだけ実装されている関数が存在します。
以下、現在分かっている関数一覧となります。
関数名 | 説明 |
---|---|
ADD | 2つの数値の合計を返す |
ARRAY_CONSTRAIN | 配列の結果を指定したサイズに抑える |
AVERAGE.WEIGHTED | 指定した値と対応するウェイトに基づいて一連の値の加重平均値を求める |
COUNTUNIQUE | 指定した値や範囲のリストから、一意の値の個数をカウントする |
DETECTLANGUAGE | 特定の範囲内のテキストで使用される言語を識別する |
DIVIDE | 除算の結果を返す |
EQ | 指定した2つの値が等しい場合はTRUE、等しくない場合はFALSEを返す |
GOOGLEFINANCE | Google Financeから現在や過去の証券情報を取得する |
GT | 1つ目の引数が2つ目の引数より真に大きい場合はTRUE、そうでない場合はFALSEを返す |
GTE | 1つ目の引数が2つ目の引数より大きいか等しい場合はTRUE、そうでない場合はFALSEを返す |
IMAGE | セルに画像を挿入する |
IMCOTH | 指定された複素数の双曲線コタンジェントを返す |
IMLOG | 指定された値を底とする複素数の対数を返す |
IMPORTDATA | 指定したURLのデータを、.csv(カンマ区切り値)形式または.tsv(タブ区切り値)形式でインポートする |
IMPORTFEED | RSSフィードやATOMフィードをインポートする |
IMPORTHTML | HTMLページ内の表やリストからデータをインポートする |
IMTANH | 指定された複素数の双曲線正接を返す |
ISDATE | 値が日付かどうかを返す |
ISEMAIL | 値が有効なメールアドレスであるかどうかを検証する |
ISURL | 値が有効なURLであるかどうかを検証する |
LT | 1つ目の引数が2つ目の引数より真に小さい場合はTRUE、そうでない場合はFALSEを返す |
LTE | 1つ目の引数が2つ目の引数より小さいか等しい場合はTRUE、そうでない場合はFALSEを返す |
MINUS | 2つの数値の差を返す |
MULTIPLY | 2つの数値の積を返す |
NE | 指定した2つの値が等しくない場合はTRUE、等しい場合はFALSEを返す |
POW | 指数でべき乗した数値を返す |
REGEXEXTRACT | 正規表現に従って、一致する部分文字列を取り出す |
REGEXMATCH | 正規表現に一致するテキストの一部を検索する |
REGEXREPLACE | 正規表現を使用して、テキスト文字列の一部を別のテキスト文字列に置き換える |
SORTN | 並べ替えたデータセット内の最初のn個の項目を返す |
SPARKLINE | 1つのセル内に含まれるミニグラフを作成する |
TO_DATE | 指定した数値を日付に変換する |
TO_DOLLARS | 指定した数値をドル値に変換する |
TO_PERCENT | 指定した数値を百分率に変換する |
TO_PURE_NUMBER | 日付/時刻、百分率、通貨などの表示形式を持つ数値を表示形式なしの純粋な数値に変換する |
TO_TEXT | 指定した数値をテキスト値に変換する |
UMINUS | 正負を反転させた数値を返す |
UNARY_PERCENT | 百分率の値を変換して返す |
UPLUS | 指定した数値をそのまま返す |
Excelだけで使える関数
スプレッドシートにはなく、Excelにだけ実装されている関数が存在します。
以下、現在分かっている関数一覧となります。
関数名 | 説明 |
---|---|
AGGREGATE | さまざまな集計値を求める |
AMORDEGRC | フランスの会計システムで減価償却費を求める |
AREAS | 範囲に含まれる領域数を求める |
BAHTTEXT | 数値をタイ文字の通貨表記に変換する |
BESSELI | 第1種変形ベッセル関数の値を求める |
BESSELJ | 第1種ベッセル関数の値を求める |
BESSELK | 第2種変形ベッセル関数の値を求める |
BESSELY | 第2種ベッセル関数の値を求める |
BETAINV | ベータ分布の累積分布関数の逆関数の値を求める |
BINOM.DIST | 二項分布の確率や累積確率を求める |
BINOM.DIST.RANGE | 二項分布の一定区間の累積確率を求める |
BINOM.INV | 二項分布の累積確率が基準値以下になる最大値を求める |
CALL | ダイナミックリンクライブラリか、コードリソース内のプロシージャを呼び出す |
CHISQ.TEST | カイ二乗検定を行う |
COVARIANCE.P | 共分散を求める |
CSCH | 双曲線余割を求める |
CUBEKPIMEMBER | 主要業績評価指標のプロパティを返す |
CUBEMEMBER | キューブ内のメンバーや組を返す |
CUBEMEMBERPROPERTY | キューブ内のメンバーのプロパティを求める |
CUBERANKEDMEMBER | キューブ内で指定した順位のメンバーを求める |
CUBESET | キューブからメンバーや組のセットを取り出す |
CUBESETCOUNT | キューブセット内の項目の個数を求める |
CUBEVALUE | キューブの集計値を求める |
DBCS | 文字列内の半角 (1バイト) 文字を全角 (2バイト) 文字に変換する |
DECIMAL | n進数表記を10進数表記に変換する |
DOLLAR | 数値に通貨記号と桁区切り記号を付ける |
ERF | 誤差関数を積分した値を求める |
ERF.PRECISE | 誤差関数を積分した値を求める |
ERFC.PRECISE | 相補誤差関数を積分した値を求める |
EUROCONVERT | ユーロとユーロ参加国の通貨とを換算する |
FILTERXML | XML形式のデータから必要な情報だけを取り出す |
FLOOR.PRECISE | 数値を基準値の倍数に切り下げる |
FORECAST.ETS | 指数平滑法を利用して将来の値を予測する |
FORECAST.ETS.CONFINT | 指数平滑法を利用して予測された値の信頼区間を求める |
FORECAST.ETS.SEASONALITY | 指数平滑法を利用して予測を行うときの季節変動の長さを求める |
FORECAST.ETS.STAT | 指数平滑法を利用して予測を行うときの各種の統計量を求める |
FORECAST.LINEAR | 回帰直線を利用して将来の値を予測する |
GAMMA.INV | ガンマ分布の逆関数の値を求める |
GAMMALN.PRECISE | ガンマ関数の自然対数を求める |
GAUSS | 標準正規分布で平均から累積確率を求める |
HYPGEOM.DIST | 超幾何分布の確率を求める |
IMARGUMENT | 複素数の偏角を求める |
IMCOS | 複素数の余弦を求める |
IMLN | 複素数の自然対数を求める |
IMPOWER | 複素数のべき関数の値を求める |
IMSQRT | 複素数の平方根を求める |
INFO | 現在の操作環境についての情報を得る |
ISO.CEILING | 数値を基準値の倍数に切り上げる |
ISPMT | 元金均等返済の金利相当分を求める |
LOGNORM.DIST | 対数正規分布の確率や累計確率を求める |
LOGNORM.INV | 累積対数正規分布の逆関数の値を求める |
MODE.SNGL | 数値の最頻値を求める |
NEGBINOM.DIST | 負の二項分布の確率を求める |
NORM.DIST | 正規分布の確率や累積確率を求める |
NORM.INV | 累積正規分布の逆関数の値を求める |
NORM.S.DIST | 標準正規分布の累積確率を求める |
NORM.S.INV | 累積標準正規分布の逆関数の値を求める |
NUMBERVALUE | 異なる表示形式を持つ数値の文字列を通常の数値に変換する |
ODDFPRICE | 最初・最後の利払期間が半端な固定利付債の現在価格を求める |
ODDFYIELD | 最初・最後の利払期間が半端な固定利付債の利回りを求める |
ODDLPRICE | 最初・最後の利払期間が半端な固定利付債の現在価格を求める |
ODDLYIELD | 最初・最後の利払期間が半端な固定利付債の利回りを求める |
PERCENTILE.INC | 百分位数を求める |
PHI | 標準正規分布の確率を求める |
PHONETIC | ふりがなを取り出す |
QUARTILE.INC | 四分位数を求める |
RANDARRAY | 乱数が入った配列を作成する |
RTD | サーバーからデータを取り出す |
SEC | 正割を求める |
SECH | 双曲線正割を求める |
SHEET | ワークシートの番号を調べる |
SHEETS | ワークシートの数を調べる |
SINGLE | 範囲の中から同じ行か同じ列の1つのセルの値を求める |
SORTBY | データを複数の基準で並べて取り出す |
STDEV.P | 数値をもとに標準偏差を求める |
STDEV.S | 数値をもとに不偏標準偏差を求める |
VAR.P | 数値をもとに分散を求める |
VAR.S | 数値をもとに不偏分散を求める |
WEBSERVICE | Webサービスを利用してデータをダウンロードする |
WEIBULL.DIST | ワイブル分布の値を求める |
WORKDAY.INTL | 指定した休日を除外して期日を求める |
XOR | 奇数個の条件が満たされているかを調べる |
YIELDMAT | 満期利付債の利回りを求める |
関数における入力方法の違い
関数を入力、シート上で操作していく方法に関しては、両者とも半角の英数字と記号で入力していくことに違いはありません。
以下の関数に関しては、引数や仕様が異なりますので注意が必要です。
COUNTBLANK関数
COUNTBLANK関数とは、選択したセル内の空白セルの数を数える(カウントする)関数です。
範囲指定でカウントすることは、スプレッドシートとExcel共に可能です。
しかしながら、複数選択がスプレッドシートでは可能なのに対し、Excelではできません。実際にどのような結果になるか確認してみます。
最初にスプレッドシートの場合を確認します。COUNTBLANK関数で複数のセルを参照した数式を用意します。
COUNTBLANK関数の結果が問題なく表示されました。
次にExcelの場合を確認します。COUNTBLANK関数で複数のセルを参照した数式を用意します。
ダイアログボックスで、数式の問題点を指摘されました。ExcelのCOUNTBLANK関数では3つ以上の引数は指定できません。
SORT関数
SORT関数とは、選択したセル内の順序を並び替える関数です。
この関数においては、スプレッドシートとExcelで引数が異なるため、入力方法が変わります。
以下で双方の入力内容の違いを比較します。
構文 | |
---|---|
スプレッドシート | =SORT( 並び替える範囲 , 並び替え対象列 , TRUEかFALSE〈昇順か降順〉) |
Excel | =SORT( 並び替える範囲 , 並び替え対象列 , 1か-1〈昇順か降順〉, 並べ替え方向 TRUEかFALSE〈列方向か行方向〉) |